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本の紹介設計室の多田です。
ゴールデンウィークが始まりましたね。ゴールデンウィークは弟に会いに福岡に行ってきます。久々の旅なので、少しワクワクしています。
さて、今回紹介する本は森山高至著『非常識な建築業界』です。
あらすじ…2015年に騒動となった新国立競技場問題に続き、再コンペで選ばれた案にコピペ疑惑が浮上、横浜の傾斜マンション事件が発生するなど、建築業界の威信を揺るがす問題が立て続けに起きている。しかし、これらは氷山の一角にすぎない。建築の現場で起きていることをみれば、今後も似たような問題が起きる可能性は十分にある。いったい、この業界の裏では何が起こっているのだろうか?
「どや顔」をした使いづらい公共施設で税金をムダにしないために、危険なマンションを買わないために、寿命の短い持ち家を建てないために——。知っておきたいこの業界の「非常識」な実態。
本書は、周囲の環境と全く調和しない、それ単体での成立を目指す彫刻のような建物を設計する表現建築家(筆者の造語)が日本社会をあらぬ方向に導こうとしていると警鐘を鳴らしています。
ちょうどこの頃の、ザハ氏が設計した新国立競技場の案が白紙に戻ったというニュースは私の記憶にも新しく、いったい何が起こっているのだと不思議に思いながら観ていました。
この頃は、まだ建築業界には入っていなかったのですが、素人目に妙な建物を建てようとしていたのだなと思わずにはいられませんでした。
ザハ氏のような前衛的な建築は観る者を圧倒する力があります。しかし、建築物を自分のことを表現するためのアートとして捉えるのは、少し違うのではないかと私も感じました。
専門知識を付けることはもちろん大切ですが、誰もが思いつくような一般常識的な感覚をよく理解して、設計をしていきたいなと思いました。
設計室の多田です。
再度、お知らせです。今治市役所の耐震診断・耐震改修補助金の申込受付が始まりました。耐震技術者派遣制度を使えば、耐震診断なら3,000円若しくは9,900円から受けられます。耐震診断をお考えの方はぜひ当社をご検討ください。
さて、今回ご紹介する本はロバート・マッカーター著『名建築は体験が9割』です。
あらすじ…建築の本質は「体験=内部空間」にあった! ライト、コルビュジエ、アールトたち巨匠の建築をもとに、いかに「体験」からの発想が名作を優れたものにしているかを、鮮やかに分析する。さらに、ヴィクトル・ユゴーら海外の小説、ジョルジュ・ブラックなどの美術作品からも空間を語った、画期的な建築論。
本書は、名建築は外観だけでなくむしろ内観こそ独創的であり、かつ機能性の高い建築であることを有名建築家の言葉を引用しながら解説しています。
本書を読んで、私の心に残ったのはアルヴァ・アールトの「建築にとって重要なのは、建物がオープンした日に『どう見えるか』ではなく、住み続けていく中で30年後に『どうなっているか』である」という主張です。
私は木造住宅の耐震診断と耐震改修設計を専門にやっていますが、耐震というのも実際に大地震が起こってみてはじめて、その効果が発揮されるものです。
大地震はいつ起こるか、予測が難しいです。しかし、設計通りに耐震改修工事をしたことによって大地震が起きた時に建物の倒壊を防ぐこと、それこそが私に求められている仕事だと思っています。
南海トラフ地震が近い将来必ずやってくることは予測されていますが、私のしている仕事で一人でも多くの人命を救えることを望んでいます。
設計室の多田です。
桜も咲き終わり、暑さが厳しくなっていますね。これも、地球温暖化の影響でしょうか? 4月からこの暑さでは、真夏となった時はどうなっているのでしょうね。
さて、今回ご紹介する本は、五十嵐太郎ほか著『窓から建築を考える』です。
あらすじ…窓から世界をのぞくと、建築の新しい領域が見えてくる。「窓」によって、日本と西洋の建築・技術・美術の歴史を横断的に描き出す。
窓と建築・技術・美術の変遷を書き出している本書、私が特に気になったのは建築と丸窓との関係性です。
本書では、丸窓のシンボル性と機能性、この二つの性質を軸として西洋建築と東洋建築、そして近代以降の建築における丸窓について考察されています。
私が丸窓として初めに思いつくのが宇宙船の丸窓、次に思いつくのが船舶の丸窓。どれも陸上建築ではありませんが、それはやはり、船舶や宇宙船は丸窓というイメージが強いからでしょうか。陸上建築における丸窓は、機能性というよりもシンボル性を持たせたものが多いように思います。
日本の建築では、矩形の窓が主流です。日本で丸窓が使われ始めたのは鎌倉時代における禅宗の伝来からです。このとき、「花頭窓」が日本でも設置されるようになります。これが、矩形ではない窓の誕生です。
日本で生まれた丸窓は、象徴性を持たせたものではなく意匠のアクセントとして花を添える程度のものが多かったようです。
この本を読んで感じたのは、日本の一般建築で丸窓は使いにくい、ということです。茶室でデザイン性を出すのに丸窓を使うことがありますが、従来の木造住宅で丸窓を使うのは機能性の面からしては、難しいのではないかと思いました。日本の建築では、丸型よりも矩形の方が断然使いやすいですし、機能性もあるなと思いました。
設計室の多田です。
新年度が始まり、1週間余りが過ぎようとしています。新年度を迎え、新たな試みとして建築に関する本を毎週1冊は読んで紹介していく、ということをしようと思い立ちました。
読書はもともと好きですが、こういった仕事に携わっておりながら、建築に関する知識はまだまだ未熟でありますので本を読んで、より幅広い建築に関する知見を持ちたいと思った為です。
趣味も兼ねておりますが、どうぞお付き合いください。
さて、今回ご紹介させていただく本は、伊藤豊雄著『あの日からの建築』です。
あらすじ…東日本大震災後、被災地に大量に設営された仮設住宅は、共同体を排除した「個」の風景そのものである。著者は、岩手県釜石市の復興プロジェクトに携わるなかで、すべてを失った被災地にこそ、近代主義に因らない自然に溶け込む建築やまちを実現できる可能性があると考え、住民相互が心を通わせ、集う場所「みんなの家」を各地で建設している。
本書では、国内外で活躍する建築家として、自然的な減災方法や集合住宅のあり方など震災復興の具体的な提案を明示する。
伊藤豊雄さんは大三島に今治市伊藤豊雄建築ミュージアムもあるので、ご存じの方も多いと思います。本書は東日本大震災発生間もない頃に、著者が建築家として被災地にどう寄り添っていけるかについて持論を交えながら考えていくストーリーとなっています。
本書に出てくる「みんなの家」はまさに家づくりの本質を取り込んだ施設だったのではないかと思います。
家づくりは多くの人にとって一生に一度行うかという大きな買い物ですから、想いもひとしおだと思います。私たち供給者は、その建築主の想いを形にしていくのが仕事です。出来うる限り、ご要望にお応えした柔軟な対応が出来るようにしたいと思いました。
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